簿記2級無料講座 銀行勘定調整表の基礎
まず最初の項目として、銀行勘定調整表というものを見ていきます。これは一体何なのかというのを簡単にレジュメを使いながら説明していきますが、まず3級でもありましたこの当座預金。小切手を振り出している場合、当座預金というものが使われると。また、利息の付かない決済専用の預金口座だよという所を見ていきました。この当座預金勘定、入金があれば左の借方へ、出金があれば右の貸方へというものでした。このようにしてずっと当座預金の記録をしていきました。
あくまでも3級では当社側だけを考えていた訳ですけれども、銀行に預けてますよね。銀行に預けていれば銀行でも預かり金として当社のお金、預金というものを記録しています。銀行側では預かり金として、プラス、マイナスは反対になりますが、預かり金の入金がありました、そして預かり金の出金がありました。このようにして銀行側でも記録されていきます。本来であればこの当座預金、当社の当座預金と銀行側で預かってる預かり金っていうのはイコールでないとダメですよね。
けれども、たまにですね、ズレが出ちゃう。当社側では残高が1,000円だった。銀行側での残高は900円だった。ここにズレが出てきてしまっている。こんなケースっていうのがまれにあります。ではこのズレっていうのをどうやって把握するのかというと、銀行から証明書というものが郵送されてきます。「あなたの会社の当座預金いくら預かってますよ。」と。入金がどれだけあって、出金がどれだけあったかという、明細が届きます。届いた時に自社の当座預金とチェックをして、ズレているかどうかっていうのがここで把握できる。
ズレていた場合、やはり、なぜズレたのかという原因を分析しなければいけません。その原因を分析して、表にまとめていく、これが銀行勘定調整表になります。銀行から証明書が送られ、そこで初めてズレが分かる。なぜズレが発生しているのかというものを原因調査し、一覧表にまとめていく。これが先程言いました銀行勘定調整表です。
まずはこのズレの原因、一体何が原因でズレてしまってるのか、これを確認しておきましょう。その原因として大きく2つに分かれます。どう分かれるのかというと、当社側で修正が必要なもの。そして2つ目が銀行側で修正が必要なもの。ズレの原因によって、当社側で修正をしなければいけないのか、銀行側で修正をしてもらわなければいけないのかという違いに分かれていきます。
まず具体的な項目をそれぞれ書いておきます。まず当社側での修正が必要なもの。こちらについては、誤記入、間違って記録していた時。未渡小切手、小切手を渡してなかった時。連絡の未達、連絡がいってなかった、来てなかった時。そんな場合に当社での修正が必要。続いては銀行側で修正が必要なもの。こちらも3つですね。時間外預入れ、未取立小切手、未取付小切手。それぞれ3つあるんだなという事をざっくり確認して頂ければ結構です。細かい内容はこれから見ていきます。
ではまず、当社側で修正が必要な場合、この3つをそれぞれ見ていきましょう。当社側で修正が必要な場合の1つ目として誤記入。どういった事か例題を使ってみておきましょう。水道光熱費34,000円を当座預金で支払った際、43,000円と記入していた。間違って43,000円と記入していたと。これはどういう事か。本来34,000円の支払いだった訳ですので、34,000円の支出という事で預かり金の減少。けれども当社側ではこの34,000円を間違って43,000円、43,000円と記入してしまったと。これにより残高がズレてしまうと。この原因を調査して分かったのであればその修正をしましょうということです。
まずはこの修正について仕訳を確認をしておきます。間違った仕訳としてどういった事がされていたのか。当社側では水道光熱費43,000円と記入していたという事なので、ひだり借方、水道光熱費43,000円。そして貸方、当座預金。これが間違った仕訳ですね。1つ飛ばしまして、本来あるべき正しい仕訳を確認しておきましょう。正しい仕訳というのは、水道光熱費が34,000円でした。水道光熱費34,000円、貸方、当座預金34,000円。この2つの仕訳を見比べて、修正仕訳を行なってあげるというのが今回の目的です。間違った仕訳、本来あるべき仕訳、この2つを見比べて修正仕訳にしていきましょう。
3級の所でも修正仕訳というのをやったと思います。1番簡単なのは、間違った仕訳を逆仕訳してあげるんですよね。間違って書いてしまった仕訳、もうこれは消しゴムで消したりする事は出来ません。じゃあどうするのか。逆仕訳にして、一旦間違った仕訳を消します。相殺をしてあげると。この後正しい仕訳を書いて完了です。なので最終的には間違った仕訳の逆仕訳と正しい仕訳を足した仕訳が最終の修正仕訳となっていきます。
このように修正仕訳を行う事で、それぞれのずれた金額が修正出来ます。当座預金勘定の借方へ+9,000円。先程9,000円分間違って記録してしまったところは、消す事は出来ませんので逆に+9,000円と修正をしてあげる事でプラスマイナス0、これでズレの解消です。原因は追究できました。誤記入の場合は修正仕訳を行なってあげるというのを確認しておいて下さい。
それでは続いて2つ目、未渡小切手について見ていきましょう。これは一体どういった内容なのか。例えば、A社と当社でやり取りをしていました。当社はA社からサービスや商品などを受けている、そして、それに対して小切手を渡していました。例えば10,000円の小切手を渡していたら、当社は当座預金勘定、減少10,000というのが記録されています。けれどもよくよく見てみると、この小切手10,000円が渡されず金庫に残っていた、こんなケースっていうのもあります。そうなった場合、当社は小切手を渡していたと思っていて、10,000円支払ったという記録をしてます。けれども実際には渡していなかったので、10,000円出ていませんので銀行側では何の処理もされていない。当社側で間違って記録をしてしまっていたという事でここでズレが出てしまう。10,000円分のズレが出てきてしまいます。この時の修正仕訳っていうのは一体どうするのか。これを見ていこうっていうのが未渡小切手です。
未渡小切手については、大きく2つ、1つ目が買掛金などの負債を支払う為に振り出していた場合。もう1つは広告費などの費用を支払う為に振り出していた場合。負債を支払う為に振り出していた場合と費用を支払う為に振り出していた場合、これによって仕訳が変わってきます。例えば負債を支払っていた、買掛金で見ておきましょう。買掛金を支払っていた場合、借方、買掛金。金額は先程の10,000円としましょう。そして貸方は当座預金。けれどもこの小切手が実際には渡されていなかったという事で、じゃあ修正仕訳として何をしなければいけないのか。単純に逆仕訳をして消してあげましょう。ここでのポイントとしては、負債を支払う為に振り出していた場合、これを逆仕訳をしてあげて正しい処理をする、これが1つ目のパターンです。
2つ目のパターンとしては、費用を支払う為に振り出した場合。例えば今回は広告費なので同じように広告費の支払いの為小切手振り出した場合、借方、広告費、貸方、当座預金10,000となっていきます。ただ、この小切手が渡されていなかったという事ですね。ですから先程と同じ理屈で考えると、単純に逆仕訳をしてあげればいいと考えていくのが通常ではないかと思います。実はこれが間違いなんですね。なぜか。広告費、これはCMというサービス、もしくは広告宣伝をしてくれたというサービスを受けています。サービスを受けているにも関わらずお金を払っていないとなると、代金は未払いという事になります。なので何らかのサービスを受けているにも関わらず小切手を渡していなかったとなれば、ここは広告宣伝費を消すのではなく、つまり費用を消すのではなく、未払いとして、未払い金の計上が必要となります。費用を支払う為に、となった場合、未渡小切手の場合は未払い金となります。サービスは受けているのにも関わらず小切手を渡していない、代金の未払い。だから未払い金としての記録が必要となってきます。ここはよく間違えてしまうという方が多いので、注意をしておいて下さい。また検定試験でも出題されやすい項目です。この2つをしっかりと確認をしておいて下さい。
また余談ですが、商品を仕入れて、商品を仕入れてまだ代金を支払ってなかった場合、仕入れを戻すではなく買掛金で修正仕訳をします。商品代金の未払い=買掛金となりますので、同じように費用。費用の場合は未払い金となりますが、商品の場合は買掛金となるんだという所をぜひポイントとして押さえておいて下さい。商品代金(仕入れ)ですね。仕入れについては、この未払い金が買掛金になるんだよという所ももう1度確認として押さえといて下さい。
では続いて3つ目、連絡の未達。連絡の未達というのは、その名の通り、銀行から当社へ、連絡が単純に来ていなかったということです。例えばこんなケースですね。電話代8,000円が当座口座から引き落とされていたが、当社では未達であった。携帯電話、口座から自動引き落としなんてのが一般的ですよね。銀行側で8,000円の引き落としがされている。このように8,000円の引き落としがされていたけれども連絡が来ていなかった為、当社ではその引き落とし分が記録されていない。これによりズレが生じてしまっている。ではちゃんと修正をしてあげようねということです。これは単純に記録がされていないというだけですからちゃんと記録してあげて下さい。ここまでで、まずは銀行側の修正っていうのは完了となります。
プラスアルファでお話しておくと、今3つ確認していきました。誤記入、未渡小切手、連絡の未達。それぞれ当社側での修正となりますので、もちろん仕訳だけではなく、この勘定へも修正が必要になります。なので例えば先程の、未渡小切手10,000円、本来渡してなかったものを渡してたという記録をしていた。だからそれぞれの修正仕訳。どちらにしても、当座預金10,000円が戻って来ているとなりますので、この場合だと当座預金+10,000、これでズレが解消、プラスマイナス0でズレの解消。連絡の未達の場合も同様に8,000円をまだ払ってなかったという状態なので修正仕訳を行ないました。なのでこの修正仕訳に基づいて8,000円の修正、単純に消える。これによりズレが解消。このようにして仕訳+勘定をセットで見ていくようにしてみて下さい。これは銀行側での修正についても同じ事が言えます。
では続いて銀行側での修正、こちらを見ておきましょう。銀行側での修正、1つ目、時間外預入れ。これはどういう事かと言いますと、当社側では、例えば10,000円預け入れました。ただ当社は例えば居酒屋です。そして営業時間が夜中12時まで。けれども金庫にお金を残しておくのはちょっと怖いから、何とか銀行に預けたい。そんなケースがあります。その時どうするのかというと、夜間金庫というものを利用します。通常銀行っていうのは営業時間が3時までで、ATMも遅い所でも9時、10時となっています。それ以降のお金を預け入れたいという時には夜間金庫というものを利用します。そうした場合、当社は銀行にお金を預け入れますが、銀行は営業時間が終わっていますので、翌日扱いとなります。たったこれだけなんですが、これだけで1日ズレが生じてしまう。これが時間外預入れというものになってきます。通常では特に問題ないんですが、決算となった場合には非常に大問題です。この日が決算日の境目となった場合、預け入れたけれども銀行側では翌日扱いなので決算を基準に10,000円預けた、10,000円預けていない、このようなずれが出てしまうので、そういった時にはこの銀行勘定調整表を使って修正がされていきます。この場合、銀行側で修正をしてもらう。当社は間違っていないのでね、銀行側で正しい修正をしといてねと。
例題としてはこんな感じです。営業終了後、当座口座に現金20,000円を預けれたが、時間外であった為翌日入金となっていた。なお修正仕訳については、当社側では間違った処理はしていません。あくまでも銀行側で修正をしてねという内容なので、仕訳自体は不要です。ただし、銀行で+の処理、これをしてもらう。このようになっていきます。こちらの10,000円の例でいくと、10,000円を預け入れてると、銀行側ではまだ預かってなかったという処理なので、銀行側で10,000円プラス処理をしといてねと、こういった意味合いになる。もちろん例題にあるように20,000円ならそれぞれ20,000円になっていきますので、この辺りも確認してみて下さい。
では続いて未取立小切手。これはどういったものなのかというと、当社はA社から小切手を受け取りました。そしてこの小切手をすぐ預け入れました。そしたら何が必要かというと、この小切手を、A社の口座に持っていって、お金ちょうだいねという事で回収をしなければいけません。けれどもここにもやはりタイムラグがあります。いきなり小切手を持っていって「分かりました、じゃあ回収しときますね。」と言っても2~3日かかるケースがありますので、このときにもやはりズレが出来てしまう。このようなケースを未取立小切手といいます。A社からのお金を回収出来ていない、取立てが出来ていないという事で未取立小切手と言われます。具体的にはこのような感じですね。得意先から小切手70,000円を受け取り、直ちに当座預金に預け入れたが、まだ取り立てられていなかった。つまり当社側では直ちに預け入れたので当座預金70,000円記録している、けれどもまだ取り立てられていなかった。銀行側でまだ取り立てをしていなかった。だからここにズレが出てきてしまう。どうすればいいのか。銀行側で70,000円の修正をしてもらえれば一致しますね。という事で修正としては、当社は間違った処理はしていません。なので銀行側での修正。だた、あくまでも仕分けというのは当社側だけで考えていくので、仕分けは不要。銀行側で+の処理をしてあげて下さい。
それでは最後3つ目、未取付小切手こちらを確認していきましょう。未取立小切手とよく似ています。先程は未取立でしたが、続いて見ていくのは未取付になっていきます。未取立小切手の逆バージョンと考えてもらえればいいです。未取付小切手は、未取立小切手の逆バージョン。つまり当社がA社に小切手を渡してました。本来であればこの小切手を銀行へ持って行ってそしてお金に変えてもらうと、このような手続きが必要となります。けれどもA社が銀行に行って、お金に変えてもらうという事をまだしていなかった。小切手を振り出したという記録をしているにも関わらず銀行側では何の処理もされていなかった。例えばこんな感じですね。例題としては仕入先へ買掛金30,000円の支払いの為小切手を振り出していたが、未取付であった。30,000円の支払いをしましたけれども未取付だったという事は相手先がまだ銀行とやり取りしていなかった。なので、当社側では正しく処理されているにも関わらず、銀行側ではまだ未処理だった。では、銀行側で修正をしてもらえれば一致しますよね。という事で当社側での修正は不要です。銀行側でマイナスの処理をしてやります。この未取付小切手、よく勘違いしやすいのが未渡小切手です。未取付小切手と未渡小切手それぞれ内容は違います。よく似ているんですが、ここですね、表現として未取付だった。未渡だった。この最後の締めの言葉を間違えないように確認しておいて下さい。
以上が修正仕訳になっていきます。ただこれだけで終わりかというとそうではなく、1番最初に説明した通り、今までやってきた内容を一覧表にまとめておかなければいけません。それが銀行勘定調整表だよと。という事でその調整表、一覧表の確認をしておきましょう。
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