簿記2級無料講座 個別原価計算の基礎
続いて見ていく内容は個別原価計算というものになっていきます。先ほどまでやっていった材料費、労務費、経費。こういったものを全て複合させた問題となっていきます。こちらですね。材料費、労務費、経費、仕掛品と製造間接費へ分けて製造間接費から仕掛品へ、仕掛品から製品へと。簡単で構いませんのでこの勘定を埋めてみて下さい。
はい、よろしいでしょうか。直接、間接にまずは分けて、直接は仕掛品へ、間接は製造間接費へ。そして製造間接費から仕掛品へ配賦をし、ステップ3として完成したものを製品と。この一連の流れというのは本当にこれからずっと付いていく内容となりますので、何度も言うようですが何も見ずにこの一連の流れが書けるように、理解出来るようにしておいて下さい。では実際にですね、個別原価計算というものが一体どういったものか細かい内容を見ていきたいと思いますが、先ほど見てもらったものと少しだけ形が違いますが、何が違うか分かるでしょうか。実はここですね。製造指図書というものがあります。これは仕掛品勘定、本来はですね、勘定でいくと仕掛品勘定が存在しているんですが、仕掛品勘定っていうのは大きく1つしか設けていません。で、その仕掛品勘定を細かく見た時に製品ナンバー101、製品ナンバー102というように各製品ごとに指図書というものが作られています。ちなみこれどういうものかというと、イメージしやすいもので言えばオーダーメイドです。つまり個別原価計算というのはオーダーメイド、こういった製品を作ってくれ、こんな製品を作ってくれという風にある意味世界に1つしかない製品を作ってくれとお願いをした場合に使っていく計算方法です。ですからナンバー101、ナンバー102とありますが、それぞれお客さんからこんな製品を作ってくれ、こんな製品を作ってくれっていう風に依頼をされて作る、その時に作成するものがこの製造指図書というものになっていきます。ただ、計算の流れとしては今までと特に変わりありません。どういう事か。材料費、労務費、経費、これを直接と間接に分ける。分けたものを仕掛品や製造間接費に振替える、製造間接費から仕掛品へ配賦する、この一連の流れっていうのは全く一緒です。つまりこういう事ですね。材料費、労務費、経費、直接、間接に分けました。で、このうち直接に関わるものというのは製造指図書に直接関わってくるもの、つまり製品101と102にどちらにいくらかかっているのかというのが直接分かるものが、ダイレクトに指図書に集計されていきます。材料費、労務費、経費、直接項目がそれぞれ載っかってくる。では間接に関しては製造間接費へ集計されていく。そして製造間接費に集計されたものはナンバー101とナンバー102に分けられ、それぞれの指図書へ配賦されていきます。このようにして計算を進めていくというのが個別原価計算になっていきます。
具体的にどのような形で計算をしていくのかというところは例題を使って見ていきたいと思います。それでは例題。次の資料に基づき、原価計算表と仕掛品勘定を完成させなさい。まず上側に3つ番号が振られていますが、これが各製品だと思って下さい。製品001、製品002、製品003。そして材料費、労務費、直接と付いていますので直接材料費、直接労務費、どの製品にいくらかかっているっていうのがすぐ分かるっていうのが直接だったので、すでに金額が書かれています。そして直接作業時間、この製品を作る為にどれだけの時間がかかるのか。そして備考として今どんな状態なのか、いつ作り始めて、いつ完成して、いつ販売してるのか、こういったものがずらっと書かれています。そして下側、製造間接費は直接作業時間あたり100円で予定配賦する。月初仕掛品原価001は22,500円である。そして3つ目、月初の製品は30,000円であり、当月引渡し済である。このような場合、何をどうしていけばいいのかというところですが、このような原価計算表というものを作成していきます。先ほど見てもらった問題資料、それを元にして各金額を随時集計していく一覧表になっていきます。
で、まず月初仕掛品原価とありますが、ナンバー001、問題資料の下から2つ目、問題資料の下から2つ目、月初仕掛品原価ナンバー001は22,500円であると。それがそのまま計算表に書かれていきます。で、002、003は特に月初はありませんのでバーを引いて金額を入れない。合計金額は22,500円となります。
続いて材料費、労務費。ここは直接材料、直接労務費を表します。直接材料費、直接労務費。問題資料の一番上、直接材料費、直接労務費、もう金額がそのまま埋まっていますのでこれを写して下さい。これですね。直接材料費そして直接労務費、これをそっくりそのまま写してあげて下さい。では合計を念のため出しておいて下さい。今回直接経費はありませんので、続いて下側、製造間接費。材料費、労務費、直接関わってくるものは直接埋めてもらって、製造間接費については1、2、3それぞれにいくらかかったのかというものが分かりにくいので、何かを基準にして配賦、振り分けていかなければいけません。で、何を基準にするのかというと、問題文、ちょうど真ん中よりちょっと下側に、直接作業時間により配賦するとありますので、直接作業時間1、2、3それぞれ確認をしてみて下さい。で、1時間あたりいくらで配賦するのか、100円ですね。1時間あたり100円で配賦するとありますので、直接作業時間×100円、これで計算をして下さい。65時間、55時間、62.5時間、トータル18,250円となります。で、後は縦の合計、全ての縦の合計を出してあげて下さい。はい、よろしいでしょうか。各製品ごとに合計を出してあげる。一番下の合計がそれぞれの製品の製造原価となっていきます。
表の作成自体は特に難しくはないと思いますが。この後ちょっとめんどくさいのが、仕掛品勘定や製品勘定を作成していくというところになっていきます。で、まず仕掛品勘定確認をしていきますが、この仕掛品勘定っていうのは現在製造中の金額を集約するものでしたね。製造中の金額をここに集約するもの。では何が必要かというと、この原価計算表で載っている各金額がこの仕掛品勘定に移されていきます。で、まずは仕掛品の前月繰越。この前月繰越というのは何が該当するのかというと、月初仕掛品原価、これが前月繰越に該当していきます。そしてその下側、材料費、労務費、製造間接費、これらはその下にある材料費、労務費、製造間接費がそのまま移されます。金額は合計額で構いませんので合計額を移していくと。207,750円となっていきます。よろしいでしょうか。で、ここからが非常に厄介なんですが、単純にこの合計額をそのまま仕掛品勘定に移してあげるだけだったら難しくはないんですが、そのうちですね、完成したものと未完成、この2つに分けなければいけません。完成しているかしていないか、どこで見分けるのかというと、備考の所ですね。原価計算表の所に書かれている場合もありますし、問題文にも書かれているというケースもあります。今回問題にも原価計算表にも書かれていますので、参考に原価計算表を見てもらうと、001は完成しています。002も完成している。003は仕掛。つまり完成しているのは1と2だけ、未完成は3。ではどうなるのかというと、完成している001と002は合わせて製品勘定に完成した金額として載せてあげなければいけない。89,000円と54,500円、合わせた143,500円。そして次月繰越についてはまだ仕掛中である64,250円が来月へ繰越されていく。そして合計すると207,750円、借方と貸方イコールという事で集計完了。つまり何がここで言いたいのかというと、仕掛品勘定というのはあくまでも原価の合計額しか載ってこないということ。このままではどの製品にいくらかかっているのかというのが見えずらいという事で、作成されているのが上にある原価計算表になります。で、この原価計算表を見れば仕掛品でどれだけかかっているのかというものの内訳を見る事が出来る。この仕掛品と製造原価報告書はイコールの関係にあります。なので金額、横で見ても縦で見ても最終合計が207,750円で仕掛品に載ってくる。こういった所の繋がりも理解していただければ解答がスムーズに進むのではないかと思います。
で、最終、仕掛品から製品勘定へ完成したものは移していかなければいけません。完成した製品143,500円はそのまま製品勘定へ、143,500円。なお問題文の一番下に載っておりますが、月初の製品は30,000円であると。つまりこの製品の前月繰越高が30,000円あると。問題文の1番下、月初の製品は30,000円である。つまり製品の前月繰越額は30,000円あるよと。合計して173,500円。で、そのうちどれが売れたのか、それについては問題文確認してもらいたいんですが、ナンバー001は未引渡、002は当月引渡、そして月初からある30,000円は当月引渡。引渡イコール売上という事で、売上原価は引渡したものの原価を載せてあげる。ですから30,000円とナンバー002ですね、これが売上原価となります。そしてナンバー001に関してはまだ引渡していませんので来月へ繰越されていく。売上原価は引渡しているもの、次月への繰越はまだ引渡していないものがそれぞれ集計されていくという事をぜひ押さえておいて下さい。ここまでよろしいでしょうか。個別原価計算についてはこの原価計算表の作成と共に仕掛品、製品、各勘定へ集計していく。これがセットとして過去出題されている例が多いので、この全てが必ず解答出来るように復習をしてみて下さい。
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