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それでは引き続き特殊商品売買、続いて見ていく内容は試用販売と言われる特殊商品売買です。簡単に言うと、1度使ってみて気に入ったら買ってくださいねと。そのような販売形態の商品売買になっていきます。まず当社からお客さんに対して商品を発送します。ただ、普通の売上とは違って、試用期間というものがあります。これは簡単に言うとお試し期間というものです。よくテレビCMとかで「化粧品30日間無料お試し期間ありますよ」とか「その期間が過ぎれば購入するか、返品するかを選んで下さい」とか、ありますよね。そのような販売の仕方を試用販売と言っていきます。

当社としては「商品をまず使ってみてね」という事で送って、相手が「買うよ」という意思表示をしたら、初めて売上の計上となっていくというのがこの試用販売の特徴です。もう1度言います。相手が「買うよ」と買取の意思表示を示さない限り売上計上がされないという特殊な販売形態になっていきます。

具体的な記帳方法としては2つ。手許商品区分法そして対照勘定法と言われる方法です。特に検定試験でよく出題されてくるのが対照勘定法になっていきます。もちろん手許商品区分法も出題の可能性はありますので両方見ていきますが、まず重要度の高い対照勘定法と言われる方法を見て行きましょう。

ではまず対照勘定法。どのような方法か、先にポイントだけ書いておきますのでメモをしておいて下さい。ポイントはこの2つ。対照勘定法と言われる方法は売価で記録をする。で、売価で何を記録するか、備忘記録というものをしていきます。簡単に言うとメモ書きですね。相手に商品を送っているんだというメモ書きをしておこうという方法が対照勘定法です。そのメモ書きを備忘記録と言うんだよという程度で押さえてもらったら結構です。

では例題を使って見ていきましょう。商品原価30,000円、売価40,000円を試送した。つまり相手にまず「使ってみて下さいね」という事で商品を送ったという事です。この時の記録、仕訳は必要です。ただその時にする仕訳というのがこの備忘記録というメモ書きです。どのようなメモ書きがされるのかを、先に勘定科目を書いておきますが、借方、試用販売契約。そして貸方、試用仮売上。このような勘定科目を使って記録していきます。また金額はここですね、先ほど言ったように売価で記録をしていきます。なので40,000円。ここで確認をしておきたいんですが、この試用販売契約と使用仮売上。この2つが借方と貸方に対照に出てくる勘定という事で対照勘定と言われていきます。借方に40,000円、貸方にも40,000円。左右どちらにも出てくる、対照に出てくる勘定という事でこの勘定科目の事を対照勘定と言われていきます。この対照勘定というものを使って記録する方法という事で対照勘定法と言われます。これは参考程度に押さえてもらったら結構です。そしてこれはあくまでも相手に商品を送ったという時のメモ書きに過ぎません。

実際にお客さんが買取の意思表示をしたと。「気に入ったから買いますよ」と言った時に初めて売上の記録がされていきます。なので仕訳としては借方、売掛金40,000、貸方、売上40,000円。ただ注意して欲しいのが、これは普通の売上とは違いますよねと。相手が気に入ったから買ってくれたという試用販売になりますので、一般の売上とは区別をする為に頭に試用品を付けて試用品売上もしくはこの「品」を無くして試用売上と。この辺りは勘定科目の指定がされてきますのでその時にその指示に従ってもらえれば結構です。ここでは試用品売上としておきましょう。そしてもう1つ必ず確認して欲しいのが、このメモ書きです。このメモ書きはあくまでもまだ結果が出ていない、売れるか売れないかが分からないという状態を表しています。ただ意思表示を受け実際に売上を記録したのであればメモ書きはもう必要ありません。ですから消してしまいます。消す時はですね、借方と貸方逆仕訳をしてあげれば結構です。なので借方、試用仮売上、貸方、試用販売契約。金額は売価の40,000円となります。これで処理は完了と。

もう1つ忘れてはいけないのが返品された場合。先ほどは相手が気に入ってですね、お客さんが「買いますよ」と言ってくれた場合ですが、もちろんですね、やっぱり「気に入らないから返すよ」という事もあります。じゃあ売れなかったらどうするのかというと、もちろんこの売上というのは記録されません。ただメモ書きは何かしらの結果が出れば不要になりますので、このメモ書きだけを消すという仕訳が必要になっていきます。以上が試用販売における対照勘定法の記録方法になっていきます。もう1度確認しておいて下さい。売価で備忘記録をする。これが特徴です。商品を送った時にメモ書き。売れても売れなくても備忘記録は必ず消す。結果が出れば逆仕訳をして消してあげる。もし買取の意思表示を受け、売れたとなれば売上計上となっていきます。対照勘定法は以上となります。

では続いて手許商品区分法。こちらについて見ていきましょう。先ほどと同じ取引を手許商品区分法と言われる方法で記録したならばどうなっていくのか。なお、この手許商品区分法、特徴としてはこれですね、○○品勘定を使うと。なので今回であれば試用品もしくは試送品勘定を使ってあげるという事です。ここでピンと来た方いるかもしれませんが、積送品委託販売である積送品とか未着販売である未着品ってありましたよね。実はあれも手許商品区分法と言われる記録の仕方だったんです。販売形態は違いますが、記録の仕方としては○○品という勘定を使う場合手許商品区分法と言っていくんだよと。参考として押さえておいて下さい。

では仕訳を確認をしていきますが、商品原価30,000円、売価40,000円を試送したと。この場合相手に商品を送っているという記録がされていきます。じゃあどうするのか。手許商品区分法っていうのは手許にある商品は仕入、手許に無い商品は○○品勘定を使いましょうという方法になりますので、原価30,000円の商品を相手に送ったのであれば仕入が減少します。貸方、仕入30,000円。で、借方は、ここで初めて試用品もしくは試送品勘定を使って記録されていきます。金額は30,000円。注意点としては手許商品区分法の場合は原価で記録をする。原価で記録されていくという事をぜひ注意をして下さい。

実際に相手が買取の意思表示しました。つまり売れたとなれば売上の記録。これは先ほどと同じ、借方、売掛金40,000、貸方、試用品売上40,000円。なお、売れたのであれば、この売れた30,000円分の商品は売上原価に算入。売上原価は仕入勘定で記録されていきますので、試用品勘定を仕入勘定に振替える。単にこの逆仕訳をしてあげるという事になります。これが売れた時の処理。

では売れなかった場合。売れなかった場合は非常に簡単です。最初に送った仕訳と逆仕訳をするだけなので、このようになっていきます。これが手許商品区分法の記帳方法です。もう1度確認しておいて下さい。○○品勘定を使うというのが手許商品区分法。ポイントとしては原価で金額が計上されていく。売れた場合、つまり相手の買取の意思表示を受けた場合は売上計上。売れなかった場合には逆仕訳を行って、試用品勘定を仕入勘定に振替える。売れた場合にも同様に試用品勘定を仕入勘定に振替える。この辺りの一連の流れを確認をしておいて下さい。

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