簿記2級無料講座 委託販売
委託販売とは、どういった販売方法なのか。これは「代わりに売ってね」とお願いをする販売の仕方です。どういう事かというと、委託者、お願いをする側。受託者、お願いをされる側。この2人のやり取りがポイントです。委託者は商品を仕入れます。この仕入れた商品を、売ってねとお願いをして渡します。で、受託者はお願いをされて、2番目、販売をしていくと。そして売れたならば、3番目、報告をしていきます。報告をする時に、仕切清算書もしくは売上計算書というものを送付して報告をします。そして最終4番目として、代金の支払いを行なうと。ここで考えて欲しいんですが、受託者はこれだと何のメリットもないですよね。「代わりに売ってね」とお願いをされて売りました。売ったら売れた分の報告をして、売れた代金を渡してあげるとなると何のメリットもない。じゃあどうするのか。やはりメリットがないと受託者は代わりに売ろうなんて思いませんので、委託者はこんな事言うんですね。「手数料あげるから」と。受託者は手数料をもらうと。「売れたら売れた分だけ手数料をもらうね」。そしたら委託者も「その分売ってくれるんだったらいいよ」という事で契約をしていくと。
このようにして販売を代わりに行なってくれる。例えば本屋さんを考えて欲しいんですが、書店には本を置いてます。そして販売を行なっています。ただあれは仕入れているというよりも、出版会社や卸会社から本を一旦預かって、販売をしたら、売れた分だけ手数料をもらって、売れ残ったものは出版会社に返品する。このような流れになっています。では具体的な仕訳を確認をしていきましょう。商品19,500円を積送した。その際発送費用500円を現金で支払った。これは「商品を売ってね」というお願いをして送っているという段階です。商品を買った時には仕入で記録していますが、それを相手に送ったならば、手元に商品が無くなります。なので手元にある商品と、相手に送っている商品を区別する為に送った商品は仕入から一旦減らします。貸方、仕入19,500円そして借方、「相手に送っているよ」という事を表す為に積送品勘定で19,500円記録しておくと。これで手元に商品は無いけれども、相手に送っているよというのが一目で分かるようになります。また商品を送る為に発送費用500円かかった。貸方、現金500円。これについては積送品のこの19,500円の中に含めてあげる。つまり積送品の金額は20,000円。現金500円を含めた20,000円となる。ここもぜひ、かかった費用分を含めるというのを、ポイントとして確認をしておいて下さい。
そして続いてですね、受託者より仕切清算書が送付されてきた。積送品原価は20,000円であると。つまり受託者が販売してくれたという報告をしてくれてるんですね。このように報告を受けたならば売上の記帳が必要となります。売上の記帳、これを確認しておきましょう。売上の記帳に対してポイントが2つあります。売上高を総額で計上。売上高を純額で計上。総額なのか、純額なのか。これがポイントとなっていきます。先に答えを言っておくと、総額となれば売上高の金額で計上する。純額となれば手取額で計上する。つまり先ほどの仕切清算書、これですね。総額となれば60,000円。売上高の60,000円で記帳と。純額は手取額、手取金50,000円これが純額になっていきます。どちらの金額を使うのかというのを、必ず確認しておいて下さい。
仕訳の確認ですが、まず総額で計上する方法を見ておきましょう。総額で計上する方法は、売上高60,000円で記録と。なので貸方、売上60,000。そしてこの60,000円の内、先ほどの仕切清算書を見て欲しいんですが、諸掛りっていうものがありました。諸掛り合計10,000円。これは販売をする為にかかった経費という事で費用計上を行なわなければいけない。という事で借方、積送諸掛りとして記録していきます。そして残った代金は50,000円ですね。50,000円については売掛金。そして、やはりここで注意が必要なんですね。通常の売上とは少し異なりますよね。委託販売という事で相手に「代わりに売ってね」とお願いをしている販売形態なので、この売上の前に積送品を付けて、通常の売上とは区別する為に積送品売上として記録をしてあげて下さい。そしてこちら、通常の売掛金とは区別をする為、積送売掛金50,000円として記録を行なってあげて下さい。そして後はですね、売上原価の計上が必要となります。相手に商品を送った時に借方、積送品、貸方、仕入と仕訳をしましたが、この積送品の原価、今回でいくと20,000円ですね。積送品の原価が20,000円。この20,000円の原価については仕入という売上原価に含めてあげる必要があります。よって借方、仕入20,000円、貸方、積送品20,000円。これが総額で計上する方法です。
で、純額で計上する方法っていうのは、この積送諸掛り10,000円を無視しましょうと。あくまでももらえる50,000円だけを計上しようという方法です。なので貸方、積送品売上50,000、手取り金の50,000円で計上。借方についても同じように積送売掛金50,000円。そして売上原価に計上については同じように借方、仕入20,000、貸方、積送品20,000と。以上が売上計上の記帳。そして最後ですね。50,000円手取り金を送ってもらったとなれば売掛金の相殺となりますので、借方は現金50,000、貸方は積送売掛金50,000。売掛金の相殺として記帳を行なってあげて下さい。
そして、今は委託者側を見ましたが、逆に受託者側はどうなのか。受託者側を受託販売と言っていきますが、受託者側の処理、こちらも確認しておきましょう。委託された商品20,000円を引き取り、その際に倉庫の保管料として7,500円を現金で支払った。ここで注意して欲しいのが、受託者側は自社の商品を仕入れたのではなく、委託者の商品を預かっただけ。その場合にはこの20,000円の商品は特に記録をする必要はありません。ただし、お金の受け渡しがあればそれは後で清算をする為に記録を残しておかなければいけません。なので例えば倉庫を保管料として7,500円現金で払ってると。これは後で委託者に7,500円請求をかけます。ですから現金を払ってるんだという事で貸方、現金7,500円。必ず記録が必要です。後で請求をするという事で借方側は受託販売勘定で記録を行なって下さい。7,500円。
続いて商品を受け取ったならば今度は販売です。委託された商品を60,000円で全て販売しましたよと。で、現金で受取った。この場合やはり現金で受取ったならば、後で委託者に送金をしなければいけない。送金をする必要が出るという事で記録を行なっておかなければいけない。仕訳としては現金で受取った借方、現金60,000円、貸方、受託販売60,000円。そして販売をしたならば報告をしますよと。仕切清算書で報告をしました。報告をした時にここですね、手数料はもらいます。売ったんだからその分手数料ちょうだいねと。手数料をもらうという記録を残しておかなければいけませんので、仕訳としては手数料は収益貸方、受取手数料2,500円、借方は手数料貰ったよという事で受託販売2,500円で記帳。そして最終的に委託者に手取金50,000円を送金しました。50,000円の送金をしたという事で、貸方、現金50,000円、借方は受託販売で記帳と。これで一連の流れは終了となります。
今までの仕訳を見てもらって、何か気付いた点ありませんでしょうか。実は受託者側は全て受託販売勘定を使って記録がされてます。実はこれがポイントなんですね。受託販売、これは必ず借方、貸方どちらかに受託販売勘定を使うというのがポイントです。なぜ使うのかというと、現金の受け渡しの記録を残しておく必要があるからです。この受託販売勘定、全てを勘定転記してみるとよく分かります。では仕訳通りに勘定転記をしていくとどうなるのか。一連の流れの仕訳を見てもらうと、まずは借方に7,500円。続いて60,000円で販売をしたという事で貸方側に60,000円。手数料をもらったという事で手数料2,500円が記帳されています。すると差額は幾らになるのか。50,000円ですね。この50,000円というのが結局、最終清算がされる手取金の金額と一致する事になります。そしてこの50,000円を払う事で清算がされて、借方、貸方プラスマイナス0で終了と。つまり受託販売勘定が借方、貸方どちらかに残っているという事はまだ清算がされていない、販売の途中のものがあるという事を表すんだと。そこでこの受託販売勘定が全てに使われているという事になりますので、ぜひこの流れと使っている意味をしっかりと押さえておいて下さい。
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