簿記2級無料講座 満期保有目的債券
それでは引き続き有価証券2つ目、満期保有目的債券について見ていきたいと思います。満期保有目的債券というものは一体何なのかという所をまず簡単に説明しておきます。今皆さんはこちら当社側。そしてどういった事をしてるのかといいますと、A社から社債券というものを購入し、代金の支払いをしている。ちなみにこの社債というのはまた後ほど詳しく見ていきますが、簡単に言うとA社の借金です。この借金の証明書という形で社債券というものを発行し、そしてA社はお金をもらう。
で、当社側ではお金を渡して、社債券というものを受け取ってます。この社債券というのは有価証券。資産として有価証券となります。ただし表現方法として、単なる有価証券ではなく、社債は、何年間お金を貸すよっていう期間があります。その期間というのが例えば5年としましょう。5年後に貸したお金が全て返ってくる。この5年間、満期までずっと持っていると。これを目的として取得した場合、5年満期の社債をずっと5年間持っておくっていう事を目的として取得した有価証券、これを満期保有目的債券といっていきます。 ですから今は資産に有価証券と書いていますが、仕訳の科目としては、満期保有目的債券という科目を使って記録をしていく事になります。細かい仕訳については後ほど見ていきますが、まず満期保有目的債券というのが何なのかという所を簡単に押さえておいて下さい。また後ほどですね、A社が社債を発行したケースというのも見ていきますのでこちらは一旦置いておいて下さい。今は社債を取得した、購入した側を見ていきますのでそちらを注意してみておいて下さい。 では例題を使いながら満期保有目的債券の内容を見ていきましょう。まず購入時という事で、平成X1年4月1日、5年満期、5年後に全てお金が返ってくる。A社から社債1口100円につき83円で100口取得。代金は手数料200円と共に現金で支払った。なお、この社債は、ここチェック入れときましょう、満期まで保有する目的であると。これがもし売買目的となれば売買目的有価証券。今回は満期まで保有する目的となりますので満期保有目的債券となります。なので仕訳としては、借方、満期保有目的債券。金額についてですが、1口100円につき83円で、100口なので、83円×100口。ただ、手数料が200円かかっています。これは売買目的有価証券でも同じように取得原価に足していましたよね。なので満期保有目的債券でも同様、必ず手数料の200円も足してあげて下さい。83円×100口、8,300円+200円なので8,500円となります。代金は現金で支払ってるという事なので、貸方、現金8,500円。ここまでよろしいでしょうか。 では続いて2番。利息の受け取り時。こちら先ほど言いました社債というものですね。社債というのは、A社の借金。つまり当社はお金を貸しているのと同じなんですね。という事は、お金を貸したならば利息がもらえます。この利息、上記の社債利率年3%。利払い日は年1回3月末日であるという事なので、3月31日に利息の受け取りをしましょうと。で、利息について、この社債というものは、3級で覚えているでしょうか。支払期日の到来した公社債の利札、3級の最初の現金の所で少しお話しました。支払い期日の到来した公社債の利札、実はこれがそれに該当するものです。という事は支払期日の来た利札ですよね。これを記帳するとなれば、借方、現金、貸方、有価証券利息。この辺りももう一度現金の所を振り返ってみて確認をしておいて下さい。 で、利息の額。ここ注意をして欲しいんですが、3%っていうのは何に対して3%をかけるのか、大丈夫でしょうか。これは額面に対して3%をかけていきます。じゃあ額面って何なのかというと、実は問題文のここですね、1口100円。これが額面になります。1口100円。社債というのは簿記の問題上、1口100円で計算されてます。1口100円の社債を安く1口83円で購入したよ、というものです。ただ利息についてはあくまでも1口100円で計算をしていきます。よってまず額面の確認をしておきましょう。1口100円×今回は100口購入なので、100口という事は10,000円。これが額面金額です。そしてこの額面金額に対して年利3%なので10,000円×3%。300円の利息。よって借方、現金300円、貸方、有価証券利息300円となります。 このようにして満期保有目的債券の記録はされていきます。なので処理としては難しくありません。社債を満期保有目的で購入したならば、満期保有目的債券。利払い日が来たならば、現金で有価証券利息の記帳。利息は額面金額に対して利率がかけられる。このポイントをしっかりと押えて下さい。 ここまでは期中の処理となります。続いては決算整理を見ておきましょう。この決算時については、満期保有目的債券は原則は取得原価、つまり買ってきた時の金額で記録をしておきます。なので原則決算時には何もしません。ただ例外として1つ存在するものがあります。それが償却原価法。これはどういったものなのか簡単に説明をすると、先ほどの満期保有目的債券、額面は10,000円だという話をしました。こちらですね。1口100円で計算がされていると。それを100口購入なので10,000円が額面金額だよと。という事は本来この満期保有目的債券、償還期間が5年間という事なので、1年、2年。3、4、5年ですね、この5年後には10,000円になってお金が返ってくるという事なんです。ただ、X1年4月1日、この時点では、いくらで購入したのかというと、先ほどの仕訳問題で見てもらうと、8,500円でした。 ではここを見比べて欲しいんですね。10,000円の額面の有価証券、社債を8,500円で取得しています。という事は幾らのずれがあるのかというと1,500円ズレてますね。この1,500円が利息の調整、もしくは金利の調整。いいですか、額面10,000円の差額の1,500円。この1,500円が利息の調整、もしくは金利の調整と認められる時は、償却原価法に基づいて金額の修正をしなければいけません。もっと言うとこの1,500円は特に理由が無かったと。利息とか金利の調整ではないという場合には原則として取得原価で買ってきた時の8,500円のまま特に何も必要ないと。ただ1,500円のこの差額が利息、金利の調整と認められているならば、償却原価法という方法を取って金額の修正をしていく必要があります。 具体的にどのような修正をするのか。この図で見てもらったら分かるように8,500円で買いましたけれども5年後には10,000円になる。じゃあ5年後に10,000円になるように毎年毎年決算日ごとに金額を微調整してあげようと。これが償却原価法というものです。ではそれぞれの決算日の確認ですが、決算日は3月31日となりますので、X2年、X3年、4年、5年、6年と毎年毎年決算日があります。で、当期分の確認をしておくと、当期はX2年3月31日の決算ですよと。 ではこの期間、1年間ですけども、1年間でどれだけ金額が変わったのか。ちょっと小さいかもしれませんが、少しだけですね8,500円から1年間経って少しだけ金額が増えてます。じゃあこれが幾ら増えてるのかというものを計算しなければいけない。どのように計算するのか。今回これは5年間ですよね。期間5年間。5年間を月数に直すと、1年が12ヶ月です。1年間は12ヶ月。という事は60ヶ月になりますね。ではここ1年間でどれだけ増えたのかという計算に関しては利息の調整、金利の調整である1,500円を全体の60ヶ月のうち、経過した1年、12ヶ月分、これで計算してあげます。そうすると300円。300円の調整をしてあげればOKと。 では仕訳について見ておくと、こうです。決算整理仕訳、満期保有目的債券、買った時は8,500円でした。けれども1年間経って、300円価値が増えています。もらえる金額が1年間経って300円増えていると。なのでそのまま金額を増やしましょう。借方、満期保有目的債券300円。これがなぜ300円増えたのかというと、利息ですよね。5年後にいきなりどんと1,500円増えるのか。そうではなくずっと5年間継続して持っているから増えたんですよね。で、増えたのはあくまでも利息の調整だという事で、貸方、有価証券利息300円となります。という事は毎年毎年決算が来るたびにこの借方、満期保有目的債券、貸方、有価証券利息という仕訳を行い、金額の微調整をしていく。毎年毎年決算日ごとに調整を繰り返してあげます。毎年300円ずつ、1年間で300円増えますので、毎年300円ずつ増やすとほんとに10,000円になるのか確認をしておきましょう。まず1年後8,500円だったものが、8,800円になりますよね。で、さらに300円増えて翌年9,100円。さらに翌年9,400円、9,700円、で、最終10,000円に到達と。1年ごとに300円ずつ増えていく事で10,000円になっていきます。このように計算をしていく方法を償却原価法と言っていきます。また、毎年一定額ずつ増えていきますので、これを定額法とも呼んだりしていきます。償却原価法における定額法と。 2級に関しては定額法だけ出来れば十分です。なのでここをしっかりと押えておいて下さい。以上が満期保有目的債券の期中決算それぞれの処理となっていきます。念のためポイントとしてここですね、なぜ月数で計算してるかというと、月割計算が必要だからです。たまたま1年12ヶ月で今は計算しましたが、これがもし途中だった場合、6ヶ月とか5ヶ月だった場合には60か月分の5ヶ月とか60か月分の6ヶ月という事で丸々1年ずつではなく月単位で、月割計算で行っていくというのがポイントになります。ここもぜひあわせて確認をしておいて下さい。 それでは続いて有価証券の項目として2級から新たに追加される項目、こちらを確認しておきましょう。 Copyright (C) 合格TV